出典:EPGの番組情報
インタビュー ここから「女流棋士 里見香奈」[字]
ゲストは将棋の女流タイトル通算獲得数歴代1位を誇る里見香奈さん。女流棋士のトップに君臨する強さの裏には何があるのか。そして、追い求める理想とは。その思いに迫る。
詳細情報
番組内容
ゲストは「最強の女流棋士」との呼び声も高い里見香奈さん。将棋の女流タイトルの通算獲得数は歴代1位で、10年以上にわたり、女流将棋界のトップに君臨している。しかし、強さを追求する中で体調を崩し、一時対局から離れたことも。苦しい時期を経て、将棋への向き合い方が変わったという里見さん。支えとなったものは何か、そして勝ち負けを超えて追い求める、本当の強さとは。今なお快進撃を続ける里見さんの思いに迫る。
出演者
【ゲスト】女流棋士…里見香奈,【きき手】澤田拓海ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – インタビュー・討論
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解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
「インタビュー ここから」。
今回のゲストは 島根県出雲市出身の
女流棋士 里見香奈さん。
人呼んで…
(雷鳴)
10年以上にわたり
女流将棋界のトップに君臨しています。
まあ 里見さんの持ち味はですね
中終盤で 大胆な一手が指せる
というところにあると思うので。
本局でもですね そういう手が
随所に現れるんではないかな
というところを期待しています。
手順に桂馬も使えてくる…。
いや~…
後手 7四角。
7四角と。
しかし 強さを追求するあまり
体調を崩し
一時 対局から離れたことも。
苦しい時期を経て
気付いたのは…
何か 人間らしい戦いというか…
勝ち負けを超えて追い求める
本当の強さとは何か。
里見さんの思いに迫ります。
では 里見さん
今日はよろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
私は 今 出雲市内の
とある場所に来ています。
里見さん
ここがどこだか分かりますか?
え~っと えっ 出雲市…
あっ 伝承館ですか?
あっ そのとおりです。
はい。 こちらはですね
女流名人戦の会場 出雲文化伝承館の
茶室 松籟亭です。
ちょうどですね 里見さんが
ふだん対局の時に
座ってらっしゃる場所に
モニターを置かせていただきました。
ありがとうございます。
里見さんにとっては
ここはどんな場所ですか?
そうですね。 やはり
自然と気合いが入るというか
本当に 地元の方に励まされて
頑張れる場所という印象があります。
実は 今回ですね 里見さんが
こちらの対局の際に
召し上がってるものをですね
用意しました。
はい。 見えますか?
あ~ はい!
出雲そばです。
やまかけそば。
里見さん
出雲そば 大好物ですよね。
本当に大好きですね。
大阪に住んでから より出雲そばが
大好きになりました。
やはり 食べると 元気が出ますか。
午後の対局に向けて。
そうですね。
やっぱり すごく食べやすいですし
ほかのおそばよりも
出雲そばが大好きなので… はい
ちょっとした癒やしになりますね。
島根県出雲市出身の里見香奈さん。
将棋を始めたのは 6歳の時です。
父親と兄が将棋を指しているのを見て
興味を持ちました。
当時は 女の子で
将棋をやってる子は
ほぼいなかったですし…。
そうですね
結構 大人相手に将棋を指すことも
たくさんあったので
唯一 大人に勝てるものが
将棋だったっていうのもあって
そういうところで はい
楽しさを感じてたと思います。
負けず嫌いだったので
負けると
すごく悔しかったですし
勝つと もう すごくうれしかったっていう
その単純なことが
はい 続けるきっかけになったんじゃ
ないかなと思います。
人一倍 負けず嫌いな性格で
将棋に のめり込んでいった里見さん。
メキメキと上達したのには
もうひとつ理由がありました。
それは 8歳の時
出雲市で開かれた将棋イベントで
出会ったプロの存在です。
トップ棋士の
羽生善治さんや谷川浩司さんらに
どうしたらもっと強くなれるのか
聞いて回りました。
里見さんは 小学3年生の時に
出雲市で開かれた
「将棋の日」というイベントに
参加されましたよね。
その日のことを覚えてますか?
覚えてますね。
実は 今回ですね その当時
里見さんと出会ったプロの方と
中継がつながっています。
えっ?
はい。この方です!
こんにちは。
お久しぶりです。
お久しぶりです。
びっくりしました。
当時 女流のスター棋士だった
高橋 和さん。
里見さんが尊敬し
目標としていた女流棋士です。
今は 東京都内で将棋教室を開き
子供たちに教えています。
とことことこって
私のところに来まして
で ゆびきりげんまんをしたんですね。
8歳の里見さんが
高橋さんから強くなる秘けつを聞いた
その時の映像です。
毎日 3問でいいから…
高橋さんとの約束を守り
里見さんは 詰め将棋を毎日
修学旅行の時でさえも
解き続けました。
なかなか 毎日続けるのって
大変だと思うんですけど
どうして続けられたんですか?
当時 私 すごく人見知りで
本当に 勇気を振り絞って言えた
言葉に対して
高橋 和さんが 何か
すごくキラキラして見えたんですよね。
すごい かっこよくて
何か そういう憧れの先生との約束を
守ろうっていう気持ちでやっていたのが
どんどん やはり
将棋を好きになるきっかけになったと
思います。
私は もう 本当に
何て言うのかな 約束を守るって
やっぱり 簡単なことではないと
思うんですよね。
本当に 一日3題って
そんなに多くではないですけれども
でも 毎日毎日やって
半年後ぐらいにですね
鉛筆で書かれた葉書が
送られてきたんですよ。
(笑い声)
「毎日 詰め将棋やってます」って。
「どこどこの大会で
優勝しました」っていう葉書を
半年に1回ぐらいかな。
毎回送ってくれて それを見る度に
ああ どんどん強くなってるんだな
っていうのと同時に
やっぱり 本当に 小さなきっかけの
ゆびきりっていうのを
今でも続けてくれてるっていうのが
とてもうれしかったですね。
里見さんは 高橋さんに送った
手紙のことは 覚えてますか?
そうですね。
ただ 自分の ただつながりたいっていう
一心で書いてたと思うんですけど。
とにかく自分の人生をですね
楽しく そして輝いた人生に
していってもらいたいな
っていうふうに 思ってます。
ありがとうございます。
里見さんは 小学5年生の時
アマチュアの全国大会で優勝。
「天才少女」と呼ばれました。
なんと…
そして 16歳の時 女流タイトル戦
倉敷藤花への挑戦権を得ます。
相手は 当時最強とされた
タイトルホルダー 清水市代さん。
里見さんは 持ち味である
イナズマのような
早く鋭い攻めを駆使して
初めてのタイトルを獲得しました。
18歳の時には
最年少で女流三冠を達成。
次々と記録を塗り替えた里見さんは
高校卒業の時に 大きな決断をします。
それは 女性初のプロ棋士になることです。
プロ棋士は これまで全て男性で
女性は 一人もいません。
プロ棋士は
女性だけで戦う女流棋士とは
完全に区別されます。
プロ棋士になるためには
プロ養成機関 奨励会に入り
対局を重ねて
勝ち抜かなくてはなりません。
里見さんは 高校卒業後に
ふるさと 出雲を離れ 単身大阪へ。
奨励会に入ります。
プロ棋士を目指すと決めた時は
どんな心境だったんですか?
小学生の時
全国大会で顔を合わせる男の子たちが
みんな奨励会に入っていて
私も入りたいなっていう気持ちも
どこかにあったんですけど
ずっと女流棋士でやっていて
19歳が最後のチャンスなんですよ。
年齢制限的に。
入会する最後のチャンスなので。
当時 里見さんは もう既に
女流棋界のスターというか
もう 第一線で活躍されていて
正直 そこから棋士の道に
進むっていうのは
かなり過酷ですよね。
そうですね。
女流棋士のタイトルは
持ってたんですけど
奨励会員の方に将棋を指してもらった時に
勝てなかったので
勝てない悔しさっていうのもまた
そこで生まれて
何か やっぱ強くなりたいなというか
勝ちたいなっていうふうに
思うようになって
何か そういう目標もなかったので
やっぱり棋士になりたいなっていう
気持ちにかけることにしました。
全国から猛者たちが集まる奨励会。
プロ棋士の四段に上がるまでには
険しい道のりが待っています。
1級からスタートする里見さんは
昇段を重ね
更に 最難関の
三段リーグを突破しなければなりません。
そこでは およそ30人から40人が戦い
プロ棋士になれるのは
たった2人だけという狭き門です。
更に 26歳以上で
リーグ戦に勝ち越せなかった人は
奨励会を退会しなければならないのです。
厳しい戦いに身を投じた里見さん。
21歳の時には 女性として
初めて 三段まで上り詰めます。
一方で 女流でも
史上初の五冠に輝きます。
130手にて投了となり
里見五冠が誕生しました。
(拍手)
全くの
出雲の宝でございます。
初の女性プロ棋士の誕生に
期待が高まりました。
奨励会と女流の両立となると
想像以上というか
もう計り知れないほど
大変だったんじゃないんですか?
う~ん というよりは やっぱり
奨励会で なかなか
入ってから勝てなかったので
そこがすごく まあ うまくいかない時期で
苦しかった部分もありますね。
なかなか やっぱり
思うように勝てないと
やっぱり 将棋をして
勉強していても
なかなか すぐに結果に
結び付くわけではないので
そういった時に
もうひとふんばりするっていう
その気力を保つのが
結構大変ではありました。
何か その 何て言うんですか
一日一日で
自信がある日とない日と
入れ代わるような
数時間後には
なくなってたりとか
そんなのも当たり前だったので。
そして…。
長期の休場を余儀なくされ
将棋の対局から離れました。
休んでいた時は
出雲に帰ってらっしゃったという
ことなんですけれども
その時は
どのように過ごされてたんですか?
そうですね
比較的ゆっくり
将棋はあまりせず
ゆっくりしてましたね。
まあ 家族も すごくゆっくりできる環境を
作ってくれてましたので
もう本当に 周りの
家族だけじゃなくて
周りの方々に支えられながら
ゆっくりしてたと思います。
翌年 なんとか復帰したものの
三段リーグの厚い壁を破れず
2018年3月 年齢制限により
奨励会を去ることになりました。
その時は どういう気持ちでしたか?
そうですね…。
何と言うか あんまり家族に連絡を
すぐに取る気にはなれなかったので
まあ でも すごく心配してくれてるのが
伝わってきて… はい。
う~ん… そうですね やっぱり
そこでも やっぱ 家族の
ありがたみっていうのは感じてました。
今回ですね その 里見さんの
支えとなった方からですね
お手紙をいただいています。
ちょっと
この場で読ませていただきます。
はい。
里見さんのお母さんからのお手紙です。
はい。
「香奈へ
好きで始めた将棋だけど
本当 いろいろな事があったね。
小学生の頃 お兄ちゃんと一緒に
将棋の道場に通っていた頃が
懐かしいです」。
「素朴な手料理ぐらいしか
作ってあげられないけど
それで 又 元気になってくれたら
うれしいです。
ずっと 応援しています。
母より」。
ありがとうございます。
いかがですか?
そうですね やっぱり その
私が 女流棋士になる前から
小さい時から
ずっと支えてくれてますし
そうなる前から ずっと
東京にも付き添ってくれてましたし
負けたそばで すぐ…
何て言うんですかね
優しく付き添ってくれて
ましたので
何か 自分の一番弱い部分を
知ってくれてる存在でありますし
まあ 帰った時には すごく温かく
ゆっくりできるような環境を
整えてくれますので
本当に感謝しております。
奨励会を退会した里見さんは
女流棋士として
これまで以上の活躍を見せます。
2019年には 前人未到の
女流六冠を達成。
当時7つあったタイトルのうち
6つを独占しました。
そして去年 女流タイトルの通算獲得数
歴代単独1位に。
快進撃が続いています。
奨励会を退会されたあと 里見さんは
際立って勝利を収めていますけれども
なぜ勝てるようになったんですか?
結構 まあ逆転勝ちというか
悪くて 逆転して勝つ将棋もあったので
運に恵まれてる部分も
あるんですけれども
その分 ちょっと
肩の力が抜けた部分もあって… はい。
そういう 将棋が好きっていうことに
ちょっと気付いて
改めて気付いて 少し楽しいなと
思えるようになったから
なのかなとは思います。
その 将棋の指し方というか
そういった部分でも
変わってきた部分はあるんですか?
そうですね
なるべく自然な手を積み重ねて
何て言うか… だけど その
勝負的な要素も入れつつ
個性を出したいっていうので
ちょっと難しいんですけど
なかなか 今 AIとかが
すごく急速に強くなってきて
人間じゃ もうかなわない存在には
なったんですけど
その分 すごく研究されやすくて
私が 奨励会にいた頃とは
全く違う勉強法に
なってきてるんですよ。 だから…。
あっ そうですか。
はい。 個性も
出しにくい時代ではあるんですけど
その中で 人間らしい戦いというか
個性を出して 人間味のある将棋を
指せればいいなっていうふうにも
思っていますね。
棋譜を見ると
私だって言われたいので
何か それぐらい
個性を出していきたいですし
自分の 何て言うんですか
そういう自分の個性も出して
強くなっていきたいというのが
結構理想なので 誰かを
お手本にするんじゃなくて
自分にしか指せない
将棋っていうのを
指していきたいなっていう
気持ちはあります。
里見さんが考える
将棋の深さというか
そういったものはどこにあるのか。
将棋の奥深さっていうのは
計り知れないんです。
私も まだ分からないというか
指していく中で
こんな筋あったんだとか
こんな変化あったんだっていうことで
毎回毎回 感じてるので そこを見て
逆に見てみたいっていうのがあります。
将棋が強くなるというのは
具体的にどういうことだと
里見さんは考えてますか?
そうですね。 う~ん…。
何か 自分がやっぱ 自信を持って
将棋を指して その上で
そのとおりに勝てるっていう
あんまりないんですけど
でも 何か そういう時っていうのは
すごく自信もありますし
力もついてきているなって感じると
思うんですよ。
何か まだ出会ったことないので
その瞬間に。
何か そういうのが理想ですね。
♬~
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