出典:EPGの番組情報
NHK地域局発 ナビゲーション「どう守る?ふるさとの景観~富山 砺波~」[字]
日本最大規模、富山県砺波市の屋敷林が、いま存続の危機に!背景には、住民の高齢化や維持管理の難しさが。ふるさとの景観をどう守るのか、地域や自治体の模索から考える。
番組内容
日本最大規模、富山県砺波市の屋敷林がいま存続の危機に!人と自然の営みが調和した歴史・文化遺産だが住民の高齢化やライフスタイルの変化で維持管理の難しさがネックだ。こうした中、手間のかかる剪定(せんてい)を引き受け悩む住民を助けるボランティア団体が活躍。地域ならではの景観の魅力を再発見し、保存の機運を高めようと新たな散策ツアーも始まった。ふるさとの景観をどう守り継ぐのか、地域や自治体の模索から考える。
出演者
【ゲスト】京都大学名誉教授…金田章裕,【キャスター】山田大樹,【語り】石井智也ジャンル :
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解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
ぜひ財政的な支援も含めて
消費者団体を資金面でどう支えて
<世界遺産…>
<人と自然の営みが織り成す
ニッポンの原風景です>
<こうした貴重な景観
まだまだあります。
その一つが
富山県砺波地方です。
広大な田んぼに点在する
7, 000軒の家々>
こんにちは~。
<そのうちの一軒にお邪魔しました。
高畑邦男さん 71歳。
先祖代々受け継いできた
特別な場所へ案内してもらいました>
うわ~ すてきな空間ですね ここは!
<700坪もある敷地には
およそ600本の樹木が>
70~80年。
<この地域で
カイニョと呼ばれる屋敷林。
400年もの間
人々の暮らしを支えてきました>
本当に 私 ここに今
数分いるだけですけど…
<大切にされてきた教えです>
え~! いいですね。
<大きく育った木々は家の補修に活用>
台所… あららららら。
<板の間や食器棚など
愛着のある樹木は姿を変え
高畑さん一家を見守っています>
ああ すごい!
<長年にわたる営みが生み出した
カイニョのある風景。
しかし今 存続の危機に立たされています>
<地元の住民たちが動き出しました>
<ひとたび失われれば
簡単には取り戻せない ふるさとの景観>
<どう守っていけるのか。
一緒に考えてみませんか?>
富山県西部に広がる…
江戸時代
加賀百万石の米どころとして
大規模な水田開発が行われました。
人々は それぞれが持つ
広大な田んぼの中心に家を建て
敷地をカイニョで囲いました。
こうして 水田の中に家が点在する
日本最大の散村が発展。
世界でも類を見ない
貴重な景観が生まれました。
田植えの時期の 夕暮れ時。
砺波市郊外にある展望台です。
全国から多くの人が詰めかけ
シャッターチャンスを狙います。
沈みゆく夕日が照らし出す
飛び切りの絶景です。
家々を取り囲むカイニョは
砺波平野での暮らしに
なくてはならないものでした。
成長した木は 風や雪から家を守り
実った果実は食料に。
落ちた枝や葉は 燃料として活用しました。
まるで 各家が里山を持つかのような
人と自然との共生。
長い年月をかけた その営みが
ここにしかない景観を生み出したのです。
しかし今 砺波平野のカイニョは
存続の危機に立たされています。
去年 砺波市は17年ぶりに
大規模な調査を実施しました。
すると 驚きの事実が明らかに。
カイニョの木々が
1万本以上 減少していたのです。
砺波平野で調査に当たる専門家も
危機感を募らせています。
40年ほど前と比べて
どのように変化したのか。
5段階で分析すると
最も茂った状態は 大幅に減少。
高い木の全くない状態が
およそ4割を占めるまでに
なっていました。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
砺波市内に住む80代の女性です。
おとうさん これ。 これ 私。
夫は6年前に他界。
2人の子供は独立し
今は独り暮らしです。
嫁いでから60年近く。
人生を共にしてきたカイニョは
心のよりどころだといいます。
しかし 自らが高齢となった今
その管理は 年々 負担になっています。
以前は 敷地内で燃やしていましたが
野焼きが法律で規制され
難しくなりました。
現在 カイニョは およそ200本。
業者に剪定を依頼すれば
最大で100万円単位の
費用がかかるといいます。
このままでは先祖代々の営みが生み出した
貴重な景観が失われかねない。
危機感を抱いた行政は
対策に乗り出しました。
カイニョを守り継ぐため
新たに始めたサービスについて
積極的な利用を呼びかけます。
…という形の
チラシになっておりますが…。
今年度から 枝や落ち葉を
戸別に回収する有料サービスを
市内全域に拡大しました。
更に 葉が特に落ちやすい春と秋に
大規模な無料回収も実施。
今年7月からは 市民の要望に応えた
こんな取り組みも…。
これまでより丈夫な指定ゴミ袋を開発。
価格も従来より3割以上安くしました。
しかし 財源に限りがある中
7, 000軒を超えるカイニョの維持を
どこまで支援できるのか…
頭を悩ませています。
はい スタジオには 京都大学名誉教授の
金田章裕さんです。
地理学がご専門で 景観の歴史や
その文化的価値について
研究をされています。
そして ご自身も
カイニョがある家で生まれ育ちました。
金田さん なぜ今 この砺波の屋敷林
存続の危機になってるんでしょうか?
そうですね 屋敷林は 建材とか
それから 防風 保温効果とかいうのは
そのとおりですが
柿 クリ 竹の子 梅など
食料になるものも そこに植えてあります。
それから 枝葉が落ちてきたら
それは燃料になります。
私は小さい時に
それで風呂をたくのが仕事でした。
なるほど。 で それが なぜ
存続の危機なんでしょうか?
それが今は 果物は どこでも
すぐ手に入れられます。
それから 建材も安いのが入ってきます。
燃料は全部 ガスか石油になりました。
電気も入りました。
ですから 経済的な価値というものは
ある意味は ほとんどなくなったわけです。
もちろん環境維持の
保温 保冷効果 防風効果はあります。
ですから 経済効果がなくなった。
しかも その 使わなくなった枝葉の処理に
大変困るという状況になりました。
それが 基本的なところですね。
そんな中で 行政が動き出してましたよね。
はい。
これは どう思いましたか?
行政は それなりに努力はしていると
思いますね。
特に 処理に困る
枝葉の回収とかというのは
非常に役に立つと言いますか
ありがたいことですよね。
行政が動き出している。 じゃあ いかに
その思いを一つにできるか
というところが
ポイントになってきそうですけども
そんな中で 地元住民の間で
新たな模索が始まっています。
ひとつ よろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
2015年に設立されたボランティア団体…
40人ほどが参加し
丸一日かけて全ての木々を剪定。
持ち主は
切った枝や葉を運ぶ費用を負担します。
支援の対象は 自力で維持管理するのが
難しくなった高齢者。
支援隊を立ち上げた 松田 憲さん。
富山市出身の 73歳です。
剪定ボランティアを始めたのは
消えゆくカイニョを なんとか
次世代に残したいという思いからでした。
かつて 商社に勤めていた松田さん。
海外駐在などを経験する中で
次第に ふるさと 富山での暮らしに
憧れを持つようになりました。
定年退職後
砺波でカイニョのある暮らしを
始めようとした松田さんでしたが…。
結局 住宅地の一角に住むことになった
松田さん。
見えてきたのは カイニョを取り巻く
厳しい現実だったといいます。
松田さんは 思い切った行動に出ます。
60歳を過ぎて 高校へ入学!
地元の小矢部園芸高校で
カイニョの維持管理について
一から学ぶことにしたのです。
入学したのは 社会人向けに開設された
週1回の専攻科。
松田さんは そこで出会った
年の近いクラスメートと意気投合。
在学中に お手入れ支援隊を結成しました。
全員に共通するのは
消えてゆくカイニョを守りたい
という情熱。
ふるさとの景観維持を
個人任せではなく
共助で支えようというのです。
一方
カイニョの価値を再認識することで
保存の機運を高める取り組みも
始まっています。
このツアーに参加するのは…
意外と知らない魅力を堪能できます。
個人の住まいであり
立ち入りが難しかったカイニョ。
ツアーを通じてファンを増やし
公共の財産としての価値を
高めようというのです。
主催する河合要子さん。
生っ粋の砺波っ子です。
河合さんのなりわいは 砺波の観光PR。
カイニョのある暮らしの
すばらしさについて
地元の住民が気付いていないと
感じています。
河合さんが こだわるのは
地元の住民にこそ
カイニョに込められた
歴史や文化に触れてもらうこと。
ツアーの受け入れ先を探そうと
農家を 一軒一軒訪問し
交渉を重ねてきました。
農家にとっては当たり前でも
参加者には驚き。
例えば 農閑期の そうめん作り。
(一同)ええ~!?
1時から作り始める?
いよいよ ツアーのクライマックス!
ふだんは入ることのできない
カイニョの内側へ…。
本当に パン しないと匂いせんもんね。
人と自然が織り成す四季折々の暮らし。
その豊かさを 再発見しました。
コロナ終息後には より多くの人に
カイニョの魅力を楽しんでもらいたい。
河合さんは願っています。
はい 皆さんの力を結集して守る取り組み
というのが行われていましたけども
金田さん やはり ここ
魅力を知ってもらう
そして 広めていく取り組みというのが
大事ですか?
はい 非常に大事だと思いますね。
魅力を知らないで
存在そのものも知らなかったら
どうしても そこに住もうとか
それを維持しようという気持ちは
なくなりますから
それは非常に大事ですね。
こうした場所が また逆に発信をしてく
というのも大事ですよね。
そうです。 発信は非常に大事です。
そうでないと その状況を知らない方が
多いわけですから はるかにね。
地元の方も含めて 外の方も含めて
それが そこに住んでみようという人が
出てきたり
あるいは 見学に行こうという人が
出てきたりする
きっかけになれば
なおさら いいですね。
こうした取り組みが うまくいっている
事例というのが 一つあるんです。
こちらを ご覧いただきましょう。
これ モデルケースが
滋賀県高島市の針江地区
という所なんです。
琵琶湖に隣接した水辺の集落でして
集落に水路が張り巡らされ
住民の生活の さまざまな場面で
使われているんですが
この場所に なんと
年間およそ7, 000人の観光客が
訪れるようになったということなんです。
これは 情報を発信して 皆さんが
来たいと思ったからなんでしょうね。
で その観光客の皆さんを
案内しているのが
住民の有志の皆さんが結成しました
観光ガイドということで 住民の
ボランティアということなんですね。
これはやはり
成功事例と見ていいんでしょうか?
はい 針江地区は 水が大変豊富な所で
地表にも地下にも
地下水も含めて 大変豊かです。
それらを利用する家の中の 川端とか
外にある 外川端というのがあって
それが大変すばらしい水の景観ですので
それを見学に来る人が
非常に多くなったんですね。
そうすると その方々は
どこへ行けば いいものが見えるとか
それから
どこが よりいい写真撮れるとか
そういった形で
うろうろ探さなきゃいけない。
そうすると その途中で どこかの家の庭に
入っちゃうかもしれない。
そういった状態ですが
それをボランティアの方々が
説明をして案内をするということで
見学者にも便利だし それから
家の中で
生活してる人にとってもいいです。
最後に 短くはなりますが
25秒ほどなんですけども
どうでしょうか? この
カイニョを残していく価値というのを
どう考えたらいいですか?
歴史的に 人々が
営々と作り上げてきた景観ですので
経済的な価値はなりましたが
依然として
経済的ではない 地域の資産です。
それはやはり なくしたら
元も子もないというふうに思います。
大切に守っていきたいですね。
はい。
ありがとうございました。
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